保証債務の履行のために土地建物を売った場合には、所得がなかったものとする特例がある。保証債務の履行とは、本来の債務者が債務を弁済しないときに保証人などが肩代りをして、その債務を弁済することをいう。
保証債務の履行に当てはまる主なものを以下にあげる。
- 保証人、連帯保証人として債務を弁済した場合。
- 連帯債務者として他の連帯債務者の債務を弁済した場合。
- 身元保証人として債務を弁済した場合。
- 他人の債務を担保するために、抵当権などを設定した人がその債務を弁済したり、抵当権などを実行された場合。
この特例を受けるには、次の三つの要件すべてに当てはまることが必要である。
- 本来の債務者が既に債務を弁済できない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと。
- 保証債務を履行するために土地建物を売っていること。
- 履行をした債務の全額又は一部の金額が、本来の債務者から回収できなくなったこと。
この回収できなくなったこととは、本来の債務者が資力を失っているなど、債務の弁済能力がないため、将来的にも回収できない場合をいう。例えば、本来の債務者が破産をしていたり、失踪をしているなどの場合がこれに当たる。したがって、本来の債務者に弁済能力があるのに、債権の回収をしないときは、この特例は受けられない。
所得がなかったものとする部分の金額は次の三つのうち一番低い金額である。
- 肩代りをした債務のうち、回収できなくなった金額。
- 保証債務を履行した人のその年の総所得金額等の合計額。
- 売った土地建物の譲渡益の額。
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