平成17年の不動産登記法改正により、あらたに導入された制度。不動産の所有者が、自己の登記済証や印鑑証明書等が盗難にあった場合や、知らないうちに自己の不動産が売りに出されていた等、身に覚えのない不正な登記申請がなされる可能性があるときに、それを防止するために利用する。
従来、一部において実務の運用として存在していたが、明確な根拠や位置づけはなく、各法務局により対応がまちまちであったところ、不動産登記事務取扱手続準則により制度としての根拠と位置づけがなされた(不動産登記事務取扱手続準則35条)。
この申出がなされると、登記官による本人確認の、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときに該当する(同準則33条1項2号)。
不正登記防止申出手続要件は下記のとおりである。
- 申出をした者が、その登記の登記名義人本人であること。この場合の本人確認は、資格者代理人による本人確認と同一資料によってなすことになる。
- 不正な登記申請がなされるおそれがある事由に対応する措置をとっていること。具体的には、登記済証や印鑑証明等が盗難にあった場合には、警察への被害届の提出であり、自己の不動産が売りに出されているとの情報を入手した場合にあっては、警察等捜査機関への告訴、告発又は相談等である。
なお、申出の内容が緊急を要するものである場合には、あらかじめ上記のような措置をとっていないときでも、申出を受理する取扱とされ、この場合には、登記官は、直ちに当該措置とるよう求めることとなっている。 |